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AGI(汎用的人工知能)を目指すブログ

人工知能に乗り遅れるな!シンギュラリティを実現するAGI (汎用人工知能) とは何か?

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はじめに

2045年にシンギュラリティという技術特異点が来ると聞いたことがある方は多いと思います。 しかし、シンギュラリティの世界ってどんな世界?と聞いて答えることができる人は少ないでしょう。 そもそも、シンギュラリティって本当に実現されるの?という疑問もあるかと思います。

僕は2013年に先輩に紹介され、ある本と出会いました。 レイカーツワイルという、現在GoogleのAI開発のトップで、大脳新皮質をコンピューターシュミレーションするプロジェクト「Neocortex Simulator」を率いている天才研究者が提唱している未来予測本です。21世紀はどのようなテクノロジーが発展するのか。その一つとして人工知能だと言っているわけです。 www.amazon.co.jp

この本をきっかけに、シンギュラリティの世界に興味を持ち始め人工知能に関して本格的に勉強し始めました。
そしてみなさんが抱えている疑問にも少しばかりでありますが答えられるなと思ったので、簡単にまとめようと思います。

目次

1 シンギュラリティの世界観とは

シンギュラリティとは?

シンギュラリティは日本語では「特異点」といいます。
特異点」とはどういう意味かとざっくり言いますと、「特異な意味をもつ独特な事象」です。
この言葉は始め数学で、有限の限界を超える値を意味するものとして用いられました。
どこまでもゼロに近い数で、定数を割った値が無限大に近づく場合がそうです。

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次は、天文学で使われました。
超新星爆発が起きると残骸は、見かけの体積は0で密度が無限大でその中心に「特異点」が形成される。
そう、これがみなさんの知っている「ブラックホール」なのです。

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過去にシンギュラリティはこのように使われてきました。 では、今回はどのような特異な意味があるのでしょうか?

今回のシンギュラリティの世界観とは?

簡単に言うと、「テクノロジーと人間の知能の融合」を意味しております。

レイ・カーツワイルは以下のような表現をしております。

「人間の脳に蓄積された大量の知識と、人間が作り出したテクノロジーが持つ一層優れた能力と、その進化速度、知識を共有する力とが融合して、100兆の極端に遅い結合しかない人間の脳の限界を、人間と機械が統合された文明によって超越することができる。」

人間一人一人がアインシュタイン並みの知能レベルになるとどのような世界がくるかをイメージしていただければ良いと思います。
(これは極端な例ですがw)

その他シンギュラリティに関して、イメージするには良い映画が多くあるので、気になった人はぜひ見てください。

シンギュラリティを再現した映画

チャッピー

人間のように学習する人工知能ロボットが発明され、ひょんなことからギャングに育てられるというストーリー。 どのようにロボットが学んでいくのかがイメージしやすいと思います。

チャッピー  Chappie (字幕版)

チャッピー Chappie (字幕版)

  • ニール・ブロムカンプ
  • アクション/アドベンチャー
  • ¥1500

オートマター

ロボットの法則である、自分自身を改造しないという法則を破り、人間の知能を超えたロボットが誕生していた。 そのロボットは、次々に別のロボットを改造していき、人間では想像つかない領域に踏み込んでいくストーリー。 まさにシンギュラリティを再現しており、ロボットと人間は共存できるのか考えさせられる映画になっております。

Automata

Automata

トランセンデンス

人間の脳をコンピューターにアップロードするとどのような世界になるのかを再現した映画。 こちらも人間の知能レベルをはるかに超え、今まで人類が発明できなかったことをどんどん発明していく。 まさにシンギュラリティの一つである「知能爆発」を肌で感じることのできる映画です。

2 シンギュラリティは本当に来るのか?

そんな時代が本当にくるの?という感じでしょうが、論理的に導かれおります。
それが「収穫加速度の法則」です。

人間の進歩は、線形的ではなく、指数関数的に加速度的である

という意味です。

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ムーアの法則をイメージしていただけると良いですね。
さらにレイさんは人類の主要な事象をまとめており、指数関数的に進歩していることを証明しております。
そちらが以下の図になります。

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次のパラダイムシフトこそが、シンギュラリティであるという訳ですね。

以上の事実に基づくと、21世紀前半のミッションとして、「人間の知能の拡大」というのは、宇宙進出に並ぶ大きなテーマではないでしょうか? Steve Jobsがコンピュターを「脳の自転車」と表現していたのは非常に素晴らしい表現だなと思いますね。これからは、「脳のロケット」を開発していくわけです。

では、シンギュラリティをどのように達成するかみていきましょう。

3 シンギュラリティを実現するための技術とは

シンギュラリティを実現するために必要なイノベーションは大きくわけ2つあると考えています。

1 「人間の知能レベルを超えた機械の誕生」(非侵襲型)
2 「脳とコンピューターの融合」(侵襲型)

まずは、非侵襲型のイノベーションから発展していきます。
というよりすでに発展しております。

人間の知能レベルを超えた機械を、AGI(Artificial General Intelligence)と呼び、現在そのAGIを達成しようと、アメリカと日本を含めいろいろな研究機関が取り組んでおります。
どのようなアプローチかは様々ありますが、主流な考えは「脳のリバースエンジニアリング」です。

「脳のリバースエンジニアリング」をし、模倣をすることができればAGIを作ることができるという大きな前提に基づいている訳ですが、さらにこの前提を分解すると以下のようになります。

前提1 脳の各領域と関係性に関して把握できる
前提2 脳の各領域を機械学習のモデルで表現できる
前提3 脳の各領域同士を適切な形でつなぎ合わせることができる

前提1~前提3をどのように達成するかを全世界のAGI研究者は切磋琢磨している訳です。 2012年にHinton先生より発表され、昨今話題となっている「DeepLearning」は人間の脳の大脳新皮質を模倣した機械学習のモデルであったり(前提2)、2013年にGoogleに買収されたDeepMindは、DQNという大脳基底核を模倣したモデルとDeepLearningを組み合わせております。(前提3)

まとめるとAGIの達成のためにはざっくりいうと、NeuroScience(神経科学)とMachineLaerning(機械学習)の分野のテクノロジーが必要になるという訳です。 f:id:brainhacker-man:20160513130749p:plain

次は、侵襲型のイノベーションなのですが、今回はこちらの説明を省きます。
脳と機械のインターフェイスであるBMI(Brain Machine Interface)がナノテクノロジーにより進歩することが期待されておりますね。

では、「脳のリバースエンジニアリング」に関してどのようなアプローチがあるのでしょうか? 正直なところ、現在主導権を握っているアプローチはありません。多くのアプローチが乱立している状態であり、有名どころを簡単に紹介したいなと思います。

4 「脳のリバースエンジニアリング」へのアプローチ

今回は、Hierarchical Temporal Memory (HTM)とBESOMの2つほど紹介したいと思います。

Hierarchical Temporal Memory (HTM)

HTM はJeff Hawkins が提案しているモデルです。視覚・聴覚・言語などのモジュールが階層的な接続で構築されています。 抽象化が人間の大脳新皮質が行っていることであり、そちらをHTMは、入力されてきた時々刻々と変化する信号を観察し、同じようなデータが来たらそれをまとめるというようなモデルを考案しております。

BESOM

BESOMは産業技術総合研究所の一杉裕志が提唱しているモデルです。大脳新皮質は6層構造をしており、そちらをうまくモデルかしております。 f:id:brainhacker-man:20160513133457p:plain

基本的には、Self Organized Maps (SOM) と Independent Component Analysis (ICA) をベースとしたモジュールで情報抽出を行い、ベイジアンネットワークをベースに再構築するという方法ですね。

正直なところまだこれだというアプローチが存在しないので、研究者としては非常に面白い分野だと思っております。
こちらに関しては具体的にはまたブログに書きますね。

最後に、AGIを目指す組織が立ち上がってきているわけですが、そちらに関してお話ししたいと思います。

5 AGIを目指す組織

海外

Vicarious

ザッカーバーグ、ピーターティール、ジェフ・ベゾスなどのシリコンバレーの大物が投資している人工知能の企業です。
大脳皮質を模倣したアルゴリズムで人間の知能を作ることを目標としております。
創業者であるDileep・Georgeは、Numentaという先ほどのHTMを提唱しているJeff Hawkinsが立ち上げた企業の共同創業者であり、非常に優秀な研究者であります。

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DeepMind

2013年DQNというアルゴリズムを開発し、学会で注目を集めたことがきっかけで、Googleが買収、一躍有名となりました。 2015年の囲碁世界ランキング2位となった、人工知能AlphaGoは同じ、DQNをベースに開発しております。 創業者であるハサビスは神経科学で博士号を取得しており、彼の海馬に関する論文は神経科学のトップ10の論文に選ばれるほど天才的な頭脳を持っております。

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Open AI

こちらもイーロンマスク、リードホフマン、ピーターティールなどのシリコンバレーの大物が出資している非営利団体。
人工知能は人類を滅ぼすのではないかと危惧されており、人工知能を利益ある形にするために組織化されました。

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日本

全脳アーキテクチャイニシアティブ

全脳アーキテクチャイニシアティブという、ドワンゴの所長である山川先生が代表を務める非営利団体。 AGIを目指し日本トップの人工知能研究者によって立ち上がっております。日本で唯一海外の研究所と戦うことができる団体であり、今後の研究結果を非常に期待しております。

6 まとめ

シンギュラリティとは何か?、そしてシンギュラリティはなぜ2045年にくるのか、どのように達成されるかを簡単ではありますがまとめてみました。
AGIという汎用人工知能はまさに現実になろうとしており、発明されるのも時間の問題だと考えます。AGIの開発の過程で発明されるであろうあらゆる人工知能技術はすぐに商用化され、継続してビジネス界に影響を与え続けると考えております。
人工知能に関連した事業を行っている方々は、研究開発の動向を常に追い続けることが大切だと思います。 今後とも継続して、人工知能に関する情報を発信していきますので、ぜひ見ていただければ嬉しいです。
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